抄録
動画像中の動きは非定常であるので,限られた帯域の中で対象動画像を圧縮符号化し伝 送する際には,動きの統計量に応じてフレームレートを適応的に制御することで,時空 間の総合的画質を改善できる.著者らは,過去に動画像フレームの適応的な挿入処理手 法を提案してきたが,動きがほぼ一定の区間でフレームレートを変化させると不連続感 を生じるなど,更に改善する余地が残されていた.そこで本稿では,これらの問題を 再検討し,高い主観画質を与える新しいフレームレートの適応的制御手法を提案する. また,得られる非一様フレームレート動画像に対して,平均フレームレートと主観画質 の関係を検討し,そのMOSが平均フレームレートから高い精度で予測可能であることを示 す.最後に,提案手法の適用例を与え,その有効性の検証を行う.