2007 年 36 巻 3 号 p. 252-263
本稿では調理タスクを調理器具や食材の状態と対応付けてモデル化する実世界対応型調理タスクモデルの構成法と,調理タスクモデルを用いた動作同期型調理ナビゲーションシステムについて述べる.従来研究ではユーザの動作とセンサイベントの対応関係が十分に議論されていなかったため,センシングによる調理中の動作認識がどの程度実用的なのかが明確ではなかった.提案する調理タスクモデルの有効性を検証するためレシピテキストを解析したところ,調理器具・食材の位置や調理機器の状態をセンシングする簡単なセンサ処理系でも約8割の調理動作が認識可能という結果を得た.またタスクモデルを用いた調理ナビゲーションを実装し実験を行った結果,通常の調理環境においても動作に同期したレシピ提示が実現可能であることを確認した.