2007 年 36 巻 5 号 p. 747-755
本研究では物体表面上の微細な凹凸形状を視触覚呈示するための詳細度制御法について述べる.従来提案されていた視触覚呈示のための詳細度制御法では,指移動時の触覚能力が十分に考慮されていなかった.そこで本研究では指移動時の視触覚能力,とりわけ触覚能力を考慮した詳細度制御法を提案する.本稿ではまず指の周波数弁別能力に対する実験を行い,高さが均一の微細な凹凸形状に対する指の知覚特性について述べる.次にユーザが視触覚可能な微細形状と視触覚不可能なほどの微細形状のそれぞれに対する触覚呈示手法について説明する.視触覚可能な場合においては,人間の視覚と触覚の能力を考慮した詳細度制御法として,モルフォロジー演算に基づく手法を提案する.一方,微細形状データが視触覚不可能な場合においては,解像度変化による詳細度制御に加え,Augmented Filter によって微細形状データを視触覚できるように変換する手法を提案する.そして微細形状データにおける視触覚能力を考慮した提案手法が有効であることを示す.