抄録
現在,集団検診や病院内での胸部CT検査に利用できる経時差分技術の 開発が期待されている.そこで本稿では,胸部マルチスライスCT画像に対する 経時差分手法を開発した.本手法では,経時差分画像上のアーチファクトを 低減するために,三次元画像マッチング手法を用いて経時画像間の位置合わせを 行った.本手法を胸部マルチスライスCT画像20症例に適用し,経時差分画像上の 病巣陰影の強調の程度や,アーチファクトの減少を確認した.また経時差分画像から作成したヒストグラムを解析することにより,経時差分画像上のアーチファクトの定量評価を行った.実験結果から,アーチファクトのコントラストおよび総量の平均18.9%の減少,および平均16.6%減少を確認し,本手法の有効性が示された.