画像電子学会誌
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論文
領域分割を利用した逆S字型変換による局所・大域コントラスト強調手法
小林 裕一
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2008 年 37 巻 3 号 p. 324-334

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抄録

画像の見えを向上する方法の一つとして,濃淡のコントラストを強調する手法が提案されている.これらの強調手法は画像の処理領域に関して,局所的強調手法と大域的強調手法に大別される.局所的強調は局所的な視認性を向上させる反面,大域的コントラストを低下させる性質がある.逆に,大域的強調は大域的コントラストを増す反面,局所的な視認性を低下させる性質がある.本稿では,局所的強調手法をベースとして濃淡画像の領域分割処理を併用することにより,局所および大域双方のコントラストを強調可能な手法を提案する.すなわち,画像を適当な領域単位に分割し,画像全体と各分割領域との間,および各分割領域とその内部の各画素との間で局所的強調手法を階層的に適用してコントラスト強調を行う.これにより,大域的強調効果と局所的強調効果を同時に実現することが可能となる.局所的強調手法として逆S字型変換を採用し,従来最も強調効果の高い手法として知られるヒストグラム平坦化法と局所的ヒストグラム平坦化法を組み合わせた処理結果,および逆S字型変換を単独で適用した処理結果と実験的に比較した.その結果,提案手法によって,局所的にも大域的にも良好なコントラスト変換画像が得られることがわかった.

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© 2008 一般社団法人 画像電子学会
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