画像電子学会誌
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招待論文
小型超高感度HARP撮像デバイスの実現に向けて
—冷陰極HARP撮像板の開発概要—
瀧口 吉郎江上 典文
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2008 年 37 巻 5 号 p. 589-595

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抄録

「超」を目指した技術として,現在,カメラの小型超高感度化を可能とする新たな撮像デバイス「冷陰極HARP撮像板」の開発に取り組んでいる.撮像板は,電圧を印加するだけで電子を放射する冷陰極のアレーに,超高感度なHARP光電変換膜を近接させて対向配置した小型超高感度撮像デバイスである.これまでに,アクティブ駆動回路を内蔵した冷陰極アレーに最大電荷増倍率約200倍のHARP膜を組み合わせた,厚さ約10mmのVGA撮像板を試作し,この撮像板では月明かり程度の明るさでノイズの少ない鮮明な映像が得られることを検証した.また,VGAの画素数に相当する良好な解像度が得られることや,消費電力が小さいこと,水平ブランキング期間にHARP膜に蓄積された過剰な電荷の一部を取り除くことで超高感度撮影時に強い光が入射しても良好な画質を維持できることなどを確認した.実用性に優れた小型超高感度撮像デバイスとして高い潜在力を有している冷陰極HARP撮像板は,将来,放送をはじめとして,学術や医療,セキュリティなど,様々な分野での活躍が期待できる.

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© 2008 一般社団法人 画像電子学会
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