抄録
画像の誘目性を用いた画像処理は,画像圧縮,画質評価あるいは画像検索やロボットビジョンなどへの応用が期待できる.誘目領域の推定において,もっとも困難な課題は,画像中のどこに何が存在するかの事前知識なしに,いかに推定するかということである.このとき,どのような画像特徴を用いて,誘目性を定義するのかが重要となる.本稿では,カラー自然画像の極値情報に基づく誘目領域の推定手法を提案する.カラー情報を輝度および2種類のカラーチャンネルに分解し,それぞれの尺度空間におけるぼけの変化に対する極値点の安定性を誘目性の基準とし,安定な極値ほど誘目性が高いとする.様々なぼけに対応した極値点の情報を統合し,誘目領域を推定する二次元マップ(地図)を生成する.極値の安定性に基づき算出された誘目領域と,視覚心理実験により取得した視線計測情報に基づく画像の誘目領域を比較し,本提案の有効性を示す.