抄録
本論文では,帰還差分量子化に基づく内挿予測と直交変換を組み合わせたハイブリッド符号化方式を提案する.直交変換にはH.264と同様にDCTを用いる.提案方式では,ブロックごとに内挿予測誤差を算出し,それをDCTした信号に対して帰還差分量子化を行う.量子化の際,低次成分を先に量子化し,その後は高次成分から量子化する順序変更と符号化誤差の増加率に基づいた量子化ステップを変更を導入する.本手法により,直交変換による信号電力の集中を実現し,高次成分の切捨てによる符号量の削減が可能であることを示す.計算機実験では,空間領域における帰還差分量子化法に比べて最大で2dBの品質改善が達成されることを示す.