抄録
生体認証は,偽造・盗難が発生する可能性があり,それが起こった場合に個人認証に用いるキーを変更できないという課題を有する.本論文では,生体認証の中で行動的特徴に分類されるサインと,身体的特徴である手形状を同時に取得し,照合を行うマルチモーダル個人認証システムについて提案する.サインはWebカメラ下において指先で描くものを用い,その際に手形状画像を同時に取得する.認証は,手形状認証とサイン認証を連続して行うマルチモーダル方式とし,双方が登録されたパターンと同一であると照合された場合のみ本人とみなす.実際にデータ取得環境を構築し,評価実験を行なった結果,等価エラー率EER=1.3%となった.また,マルチモーダル化により,本人拒否率FRR=0%となる際の他人受入率FARが7.8%から5%に低減することを確認した.