2017 年 46 巻 1 号 p. 197-205
本稿では,一枚の正面顔画像から太った状態や痩せた状態を予測するための肥痩変化顔画像を合成する手法を提案する.従来手法は,複数の顔画像で構成されたデータベースを用いることで,入力となる人物顔画像に対する肥痩変形を行っていた.しかし,これらの手法では顔画像から得られる情報(顔の表面情報)のみを扱い,人物の頭蓋骨形状や脂肪の付き方は考慮されていなかった.その結果,頭蓋骨の形状を無視した不自然な結果となってしまうことが課題として挙げられていた.そこで我々は,MRI画像を用いることでデータベースの拡張を行う.このデータベースを基に,入力となる正面顔画像から二次元頭蓋骨形状を推定し,推定された頭蓋骨情報を基づいた肥痩変形ルール及び制約条件を提案する.この手法を用いることで,入力人物の特徴を保持しつつ,自然な肥痩シミュレーションを実現する.