画像電子学会誌
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論文
追跡軌跡の再同定を用いたオンライン複数物体追跡
加藤 直樹田靡 雅基古山 純子里 雄二青木 義満(正会員)
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2018 年 47 巻 4 号 p. 391-400

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抄録

複数物体追跡のタスクを難しくする大きな要因の一つとして混雑状況における遮蔽の頻発が挙げられる.オンライン処理による複数物体追跡の既存手法の多くは,動画の毎フレームで物体検出を行うことによって得られる物体矩形を時系列的に割り当てていくtracking-by-detectionのアプローチを取っている.しかし,既存手法では遮蔽などによって物体検出器で未検出となった対象を追跡することはできなかった.そこで,我々は追跡軌跡の再同定により一度消失した対象を再び追跡状態へと移行させる手法を提案する.物体の高次元な見え特徴を表す埋め込みベクトルを畳み込みニューラルネットワークを用いて取得し,追跡軌跡同士の埋め込みベクトルの距離によって追跡軌跡の再同定判定を行う.このとき,ネットワークの入力に領域分割によって得られた物体のマスク画像を用いることで,背景変化に頑健な再同定判定を行うことが可能である.また,追跡軌跡ペアの再同定判定は低次元なベクトル同士の距離に基づいて行われるため,再同定判定を行うことによる計算コストの増加は僅かである.公開データセットであるMOT16データセットを用いて評価実験を行い,本手法の有効性を示す.

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© 2018 一般社団法人 画像電子学会
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