2022 年 51 巻 2 号 p. 164-169
新型コロナウイルス感染症対応のため,大学におけるオンライン講義が急速に広まった.オンライン講義の主な問題点は,受講者がどのくらい集中して講義を受けているのかの判断が非常に難しいということである.そこで本研究では,視線追跡装置を用いてオンライン講義時の受講者の集中度を客観的に評価する方法を提案する.この方法は,講義スライドを見ている受講者の視線を追跡し,スライドに書かれている内容の重要度と視線の動きとを関連付け,点数化する手法である.実験のためオンライン講義用コンテンツと学習後に行う理解度テスト,また実験終了後のアンケートを準備した.実験では,スライドごとに受講者の視線を追跡し計算した点数の総点と理解度テストから得られた点数の相関係数を求めた.その結果,集中度の評価点が高くなるほど理解度テストの点数も高くなることが示され,受講者の集中度を客観的に評価する提案方法の有効性が明らかにできた.