2022 年 51 巻 4 号 p. 327-331
本研究では,昼花火を物理シミュレーションを用いてCGアニメーションにより再現する方法を提案する.昼花火は打ち上げ花火の一種であり,中でも本研究は「煙竜」と呼ばれる昼花火を対象とする.煙竜は,発煙筒をつけたパラシュートを打ち上げて,パラシュートの落下とともに煙が描く螺旋状の軌跡を鑑賞する花火である.提案手法では,パラシュートのシミュレーションと流体シミュレーションによる煙を組み合わせることで,煙竜をCGで再現する.パラシュートのシミュレーションでは,屋根部分を航空力学に基づく力を考慮したパラシュートモデル,荷物部分を自由落下する質点としてモデル化し,間を繋いでいる紐をバネ・ダンパを用いて表現する.煙は格子法を用いた流体シミュレーションによって再現し,パラシュートの荷物部分から煙を噴出することで煙竜のシミュレーションを行う.