2024 年 53 巻 3 号 p. 158-165
空間光変調素子(SLM)を用いた動画ホログラフィは3Dディスプレイ装置を開発するための要素技術として期待されている.一方で,現在流通しているSLMの画素ピッチは数ミクロン程度であることから,これを回折格子として用いることになる.そのためサブミクロンオーダーのホログラムで要求される空間帯域幅積を満たさず,再生像の大きさや視域が制限される特性がある.この課題を解決する方法としては,空間スクリーンを利用したホログラフィ投影法などが考えられる.ミスト流を利用した手法ではミストのみで空間スクリーンを構成しているため,スクリーンのサイズ調整が容易,投影像のサイズおよび視域の拡大できる,高輝度な像再生が可能となることが知られている.一方で,同手法では直接散乱体を空間に噴霧するため,スクリーンの揺らぎの軽減が課題となっていた.本稿では羽なし扇風機に使用されているコアンダ効果による気流制御法に着目した.まず,コアンダ効果を利用したミストスクリーン生成装置の構成について述べ,スクリーンにおけるチラツキ量の評価結果からスクリーン内の時間および空間的な揺らぎが軽減されることを示す.さらに表示像の輝度解析の結果から,従来法に比べて輝度の高い投影像が得られることを示す.