International Journal of Biomedical Soft Computing and Human Sciences: the official journal of the Biomedical Fuzzy Systems Association
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ニューラルネットワークによる疫学データ解析とその疫学指標への応用
高橋 英孝吉田 勝美伊津野 孝杉森 裕樹宮川 路子タナカ 千恵子
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1996 年 2 巻 1 号 p. 83-91

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抄録
ニューラルネットワークを診断に応用した研究は散見されるが, 疫学モデルへの応用について検討した研究は少ない.発症モデルは非線形であり, ニューラルネットワークが有する非線形の結合は従来の統計モデルよりもモデル化に優れている可能性がある.また, 従来のニューラルネットワークの医学応用では, 出力層に使用されているのは診断の有無であり, 疫学で要求されるリスクを定量化した報告はない.本研究の目的は, コホート研究から得られた高血圧発症に関する疫学データベースをもとに, リスクの定量化を考慮したニューラルネットワークを開発することである.疫学データベースから無作為に598人の学習データと597人の検証データを抽出した.入力変数は性, 年齢, 喫煙, 飲酒, body mass index, 収縮期および拡張期血圧, 総コレステロール, 中性脂肪, 空腹時血糖, 尿酸の11項目である.これらの入力変数を異常所見の有無で0.1の2値に変換したものと, 一定範囲を0から1の間でファジイ化したファジイ評価値を用意した.ニューラルネットワークの学習はback propagation法で行い, ファジイモデル, 非ファジイモデルおよび通常の疫学解析手法としてロジスティックモデルとの間で診断精度の比較を行った.ファジイモデルのニューラルネットワークが最も診断的有用性が高く, 高血圧発症に関連したリスクを反映することも可能であった.
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© 1996 Biomedical Fuzzy Systems Association
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