International Journal of Myeloma
Online ISSN : 2187-3143
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多発性骨髄腫におけるDIS3変異/欠失の意義
大口 裕人
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2023 年 13 巻 4 号 p. 13-21

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抄録

多発性骨髄腫は多様な遺伝学的変化を背景に発症・進展する。重要なドライバーイベントとして,転座などに伴うMYCの活性化や変異によるMAPK経路およびNF-κB経路の活性化,TP53の不活化などが挙げられる。近年のゲノム解析の進歩により,これら既知のイベントに加え,新たな遺伝子変異が同定され注目されている。DIS3変異は,KRASNRASに続く高頻度反復変異であることが明らかにされた。また,13番染色体長腕のヘテロ接合性消失により,約40%の症例でDIS3遺伝子の片アレルが欠失していることが判明した。これらの事実から,DIS3は多発性骨髄腫の病態に関与することが示唆されているが,その詳細はいまだ不明である。本稿では,DIS3の分子生物学的特性,多発性骨髄腫におけるDIS3変異/欠失の特徴やその意義について概説する。

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© 日本骨髄腫学会
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