International Journal of Myeloma
Online ISSN : 2187-3143
REVIEW
米国における多発性骨髄腫診療の現状―新規治療戦略と臨床試験の動向
西村 倫子
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2025 年 15 巻 4 号 p. 15-21

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抄録

本稿では,多発性骨髄腫(MM)診療における米国の現状を臨床現場と臨床試験の両面から日本との対比も交えて考察する。日米の医療制度の違いが診療方針と治療アクセスに影響を与えており,米国では民間保険主体である一方,日本は国民皆保険制度を採用している。米国ではNCCNガイドラインが広く用いられ,保険償還と連携している。また,多職種チーム診療体制,特にナースプラクティショナー(NP)の活用は日本と大きく異なる。米国では専門医へのアクセスが容易で,電子カルテによる情報共有が進んでいる。初回治療ではDara-VRd療法などの4剤併用が標準となり,再発・難治性MMに対してはCAR-T療法や二重特異性抗体療法の適応が拡大している。臨床試験では米国の医師主導治験が活発である。日米交流は国際的視野獲得の貴重な機会となっている。

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© 日本骨髄腫学会
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