認知心理学研究
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原著
表情の表出過程および形態学的変化が感情認識に及ぼす影響:次元的観点に基づいた表情による検討
藤村 友美鈴木 直人
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キーワード: 表情, 動的側面, 次元的観点
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2007 年 5 巻 1 号 p. 53-61

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抄録

本研究では,表情からの感情認識における動きの影響を検討する.感情を表出した顔の動きには,2つの側面がある.中性顔から最大表出時の表情までの形態学的な変化と動的変化を含む時系列的情報である.60名の実験参加者は,3つのタイプの表情刺激を呈示された.動画は時系列的情報のみを含んでおり,静止画は最大表出時の表情で呈示された.切り替え画は,中性顔と最大表出時の表情の静止画で構成されていた.これらの表情刺激は,次元的観点に基づいた8感情(いきいきした,うれしい,のんびりした,驚いた,眠い,恐ろしい,怒った,悲しい)で構成されていた.実験参加者は,各表情刺激をAffect Grid (Russell,Weiss,& Mendelsohn,1989),強制選択法,リッカート法(Likert,1932)の3つの評価方法で評価した.結果より,低活性表情(眠い,悲しい,のんびりした)は,時系列的情報によって認識されやすくなる一方,高活性表情(驚いた,怒った,うれしい)の認識は,最大表出時の呈示時間によって影響を受けることが示された.

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© 2007 日本認知心理学会
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