日本小児科医会会報
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症例報告
閉鎖湿潤療法中にprobable Toxic Shock Syndromeを呈した小児
武士 那津美渡邉 真太郎石井 大裕武井 陽有坂 敦子大森 多恵三澤 正弘
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2024 年 67 巻 p. 52-56

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抄録

閉鎖湿潤療法が擦過傷などに対する一般診療に普及して久しい。しかし,一般家庭にまで広く普及した市販のドレッシング材で重篤な合併症を併発した小児例の報告は稀である。

擦過創に対する湿潤療法中にprobable Toxic Shock Syndromeを呈した12歳の男児例を経験した。2021年8月に自転車走行中に転倒してできた擦過創に近医で市販のドレッシング材を使用した閉鎖湿潤療法を施行された。受傷13日目に発熱と全身性紅斑が出現し,当院を紹介受診した。傾眠傾向と血圧低下からショックと判断し緊急入院した。創部には悪臭を伴う黄色壊死組織が付着し,洗浄と外用薬塗布を行った。創部改善後に皮膚落屑があり,多臓器障害とあわせてprobable Toxic Shock Syndromeと診断した。本症例の創部は屋外で受傷した汚染創であり,真皮にまで到達しており,十分な洗浄が必要と考えられた。閉鎖湿潤療法に際しては創部の感染コントロールが重要であり,適応や管理には十分な注意を要する。

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