医療と社会
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特集:ヘルスケアにおける連携(I)
「ヘルスケアにおける連携」の社会的位置づけ
―政策論の観点から―
田中 滋
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2013 年 22 巻 4 号 p. 285-295

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抄録

連携とは財・サービスの共同生産の方法論の一つである。本稿ではヘルスケアにおける「連携」という用語を,統合は元より,提携・調整など,異なる組織・職種間補完関係のさまざまな形態の総称と捉えている。
「はじめに」に続き2節では,ヘルスケア分野の連携をめぐる議論について,ケア論・経営論・政策論という3つの次元の違いを提示する。3節では医療の中での連携が求められる理由を述べる。そこでは日本の社会保障制度,取り分け中小零細事業者で働く勤労者のための医療保険制度(協会けんぽ)の危機とからめて,連携を図ることの意義が強調されている。4節では医療と長期ケアの間で連携が求められる理由を解説する。5節では長期ケア分野における連携が求められる理由を考察する。あわせて同節では,わが国が2025年を目標として構築する地域包括ケアシステムについて説明を行っている。
一転して6節においては「誰の,誰による,誰のための連携か」という問いを取り上げ,思想レベルでの問いかけを示す。最後に7節で今後への期待を述べる。

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© 2013 公益財団法人 医療科学研究所
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