医療と社会
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研究論文
  • 松多 秀一
    2020 年 29 巻 4 号 p. 511-525
    発行日: 2020/02/28
    公開日: 2020/03/05
    [早期公開] 公開日: 2020/02/14
    ジャーナル フリー

    本研究では,医療費の地域差分析ではこれまで利用がまれな手法とデータを用いて,年齢調整後一人当たり医療費の都道府県別の差の要因分析を行った。

    第一に,5歳刻みの同一生年コーホートに着目し,国勢調査のタイミングと一致する2010年度から2015年度までの5年間の医療費の変化幅について検証した。ほぼすべてのコーホートで地域差は拡大していたが,若年と老年では特定の異なる都道府県で大幅な増加が起きておりコーホート間で一様ではなかった。医療費の変化を,所得や医療供給体制などの共通要因と特定健康診査受診率などのコーホート別要因に回帰させたところ,老年の4つのコーホート(2015年度時点で70-89歳)では医師数の変化が正で有意であり,中年の3つのコーホート(同40-54歳)では医療機器台数(MRI台数)の変化が正で有意,他1コーホートで負で有意であった。これは,都道府県全体の年齢調整後医療費関数の結果と整合的であった。

    第二に,上記の分析を補完するため,性・年齢調整標準化レセプト出現比と年齢調整後医療費の相関関係を2015年度の入院外についてクロスセクションで分析した。診療行為の大区分別にみると,在宅医療,検査,投薬,処置等で医療費との関係が強い項目が多かった。医療の需要側の能動的な行為の影響が強いと想定される初診及び関連の診療行為の方が,再診及び関連の診療行為に比べて医療費と正の相関が高く,医療供給体制との関係も強かった。

研究ノート
  • 日本における患者の社会的課題への対応方法の可能性と課題
    西岡 大輔, 近藤 尚己
    2020 年 29 巻 4 号 p. 527-544
    発行日: 2020/02/28
    公開日: 2020/03/05
    [早期公開] 公開日: 2020/02/18
    ジャーナル フリー

    【背景】貧困や孤立等,患者の社会リスクへの対応は医療現場において不可欠とされながら,標準的な手続きや制度はない。対応策としてsocial prescribing(社会的処方)という概念が注目されているが,明確な定義やその効果についてはまとめられていない。そこで第一に,文献レビューにより社会的処方の包括的な定義づけを試みた。第二に,その定義に合う日本の活動をレビューし,日本の医療現場での患者の社会的課題に対応する活動の現状と普及に向けた課題を整理することを目的とした。【方法】(1)Social prescribing等をキーワードに検索し抽出した文献について国や地域・定義・対象・方法・効果等を評価し,社会的処方を包括的に定義づけた。(2)日本の事例を抽出し,活動の現状と普及に向けた課題を整理した。【結果】34文献をレビューした。社会的処方に関する報告は,英国からのものが多数であり,社会的な課題を抱えた患者を医療機関が“link worker”に紹介することや,地域での多様な交流活動等,患者にとって有益な非医療的な社会資源を患者とともにつくっていく活動の紹介やその効果評価の論文であった。医療費削減や救急受診減少の効果を示唆する研究があった。そこで,社会的処方を「医療機関等を起点として,健康問題を引き起こしたり治療の妨げとなる可能性のある社会的課題を抱える患者に対して,その社会的課題を解決し得る非医療的な社会資源につなげること,またケアの機会となる社会資源を患者とともにつくる活動」と定義した。この定義に合致する活動の報告は日本国内でも観察された。【考察】日本での活動の普及に向けては,活動の効果評価,方法論の標準化,必要なツールの開発,地域資源の開発,保健・医療・介護・福祉・その他の地域の社会資源のネットワークづくりが求められる。また,本研究では英国の“social prescribing”を直訳し社会的処方と表現したが,国内での活動の呼称の検討も必要である。

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