医療と社会
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社会医学系研究人材を取り巻く環境と課題
社会医学分野の大学教員数の量的推移及びインタビュー調査における質的検討
木村 哲也石川 鎮清中村 好一近藤 克則尾島 俊之菅原 琢磨
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論文ID: 2022.004

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抄録

【目的】近年,時代に即した医療課題の解決のため,適切な社会医学の人材育成がなされているかを,明らかにすることを目的とした。

【方法】量的調査と質的調査を行った。量的調査では,近年20年間の社会医学分野の講座名称及び教員数の変化について名簿調査を行った。質的調査では,社会医学分野の研究者・教員9名及び高等教育行政,厚生行政,医学会関係者各1名ずつの計12名に対してインタビュー調査を行った。インタビュー調査は半構造化面接の方法で行い,質的に分析した。

【結果】名簿調査では,20年間のうちに,医学教育において社会医学分野の教員数に変化はないが,基礎医学・臨床医学分野を合わせた教員の全体数が増加しているため,社会医学分野の教員の割合は3.0%(521人/17,224人)から2.1%(508人/24,121人)に減少していた。インタビューでは,公衆衛生大学院の創設や社会医学専門医制度などの開始,地方自治体や国際保健において社会医学人材の活躍が期待される一方で,魅力ある教育プログラムやキャリアパスのイメージが示されていないこと,実践現場と研究・教育の乖離などの課題が明らかとなった。

【結論】量的・質的分析を合わせた結果,1)新たな課題に取り組む人材育成のため教育・専門医制度などの質の保証の充実,2)社会医学の可能性を伝え参入する若手を増やすための方策強化,3)現場と研究,教育の乖離が見られるためビッグデータやグローバルヘルスを使った現場と教育と研究の統合,の3つの課題を抽出することができた。

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