医療と社会
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介護・福祉から見た医療
城戸 喜子
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1997 年 6 巻 4 号 p. 23-40

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抄録
障害を持つ高齢者の増大と障害の長期化・重度化は,医療と福祉の連携・協力の必要度を高めている。本稿ではまず,現在進行中の新ゴールド・プランの進捗度をマクロ的に点検し,遅れの著しい在宅介護支援センター,老人保健施設,およびケア・ハウスに注意を喚起した。また全国の市区町村の多くが同プランに関し財源,人材,企画力等の理由から達成困難と見做していること,痴呆症対策の遅れや地域間格差のあること等を,基礎自治体へのアンケート調査の結果から指摘した。
こうした状況下で1993年時点の高齢者は施設居住者が全体の約6%,その大半は医療系施設にいること,今後は施設と在宅の境界にあるグループ・ホームが重要であること等を述べた。その後在宅ケア当事者の視点から,訪問診療と24時間対応可能なかかり付け医の普及,退院時の福祉サービス利用指導と福祉関係機関への連絡,医療装具の福祉化,緊急時入院病床確保等の重要性を強調した。また福祉施設面では生活色の強い療養施設の増大,有床診療所への短期入所病床の設置,特別養護老人ホームの医療色強化,医療機関に関する広告規制の緩和等が要請される。
なおこれら福祉側から見た要望は法的制約の撤廃と経済的誘因により実現される。
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