人工知能やIoT(モノのインターネット)などの先端情報通信技術は次世代型統合医療の実現に不可欠な技術である。サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を融合させた人間中心の社会(Society 5.0)のモデルケースであるスーパーシティ構想においては、重要な役割を果たすと思われる。一方では、先端技術を取り入れながらも救えない方も少なくない。ペインコントロール、精神的ケアに加えて、人間の隠された本質でもある霊性に対するスピリチュアルケアも必要になる。医療の原点である「病気ではなく、病人を治す」ことに立ち返ると、スピリチュアリティは避けて通れない課題である。本論文では、科学をベースとしたエビデンスを尺度とする現代医療の視点に加えて「幸せ」を目指した医療を実現するために、筆者の研究室で行っている研究を紹介しながら「幸せの統合医療」について考察を加える。