抄録
料理本は、レファレンス資料を除くと、ノンフィクションの中では、一般の人が、日常的に検索を必要とする本のひとつに挙げられる。しかも、料理という極めてわかりやすく、単純な主題である。本稿では、わが国の料理本の索引が、どのような実態であるかを調査するため、2014、2015年の「料理レシピ本大賞 in Japan」で入賞した料理本のうち索引が付与されていた32冊から、入手できた27冊の巻末索引を詳細に分析調査した。その結果、索引対象としてはレシピ名が96%、材料が78%を占め、体系順に配列された材料の分類の下に、レシピ名が50音順あるいは頁順に配列されている索引が多いことがわかった。相互参照や凡例はなく、見出し語の選択、副見出しの記述、配列のしかたなどに課題が見られ、料理本の索引が不十分であることが明らかになった。今後、料理本の著者や編集者、出版社に、索引利用の知識や索引作成技術の普及が必要であろう。