情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集
最新号
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2023年7月6日(木)〜7日(金)
01
  • 海藻テーマパークが解決する地域・地球の課題
    工藤 真未, 大山 玲子
    p. 1-6
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/28
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    古来より、海藻は食用、タラソテラピー等の美容用途、抽出物のゲル化剤としての利用等、多様な形で活用されてきた。特に、2000年代に入ってからは、用途の拡大、栄養面での価値の見直し、環境に対する寄与から、注目度が上がっている。しかし、近年、海洋環境の変化などから、海藻の生息域である藻場は減少傾向にある。このような背景を踏まえ、まず、海藻の生産と利用についての現状を把握するために、特許、論文、プレスリリース等の調査と分析を行った。次に、海藻を利用した商品のブランディング、及び、実証試験場かつ海藻と海藻利用商品の認知度を高めるための場としてのテーマパークを設置することにより、安定的、継続的な海の再生と利用を行うことを構想した。

    本発表では、海藻の生産、利用について調査、分析した結果を元に、海藻テーマパーク構想を含む海藻コンソーシアムについて提案する。

02
  • なんで埼玉!?埼玉発の魚介をプロデュース
    須藤 康夫, 山中 とも子
    p. 7-12
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/28
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    日本における漁業生産量は減少傾向が続いており、持続可能な魚介類の供給への懸念が強まっている。本研究では、持続可能な魚介類の供給へ貢献することを目的に、内陸県の一つである埼玉県における地域資源を活用した陸上養殖の検討を行った。検討を始めるにあたり、陸上養殖の一般的な課題を調査したところ、陸上養殖に関する技術、コスト、魚種の選定・付加価値、経営アプローチ、飼料開発などが挙げられた。各課題に対するこれまでの陸上養殖の事例や埼玉県の特徴の調査を行った結果、意外にも埼玉県は陸上養殖に適した地域であると考えられた。具体的には、空き家や廃校などを陸上養殖の施設として活用することや、埼玉県で生産される果物を餌として活用した魚介のブランド化、陸上養殖設備事業者による陸上養殖への参入支援や、既存の交通インフラを活用した魚介類の輸送など、埼玉県の地域資源を活用した陸上養殖について提案する。

03
  • 世界の海洋問題の課題の解を特許情報から探る
    桐山 勉, 川島 順, 藤城 享, 栗原 健一
    p. 13-18
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/28
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    Open Science & Citizen Science時代において、IP Patent Information Scientistとして世界の海洋問題の課題の解を特許情報から探る。具体的には国連が定めたSDGsテーマに沿う社会的テーマとして、「海洋プラスチックごみの特許分析研究」を通して、社会貢献をしたい。更に具体的には、海洋プラスチックごみ問題を少なくとも観点10個の詳細技術領域に分けて、特許分析を行い、結論として「妄想案からスタートした何かしらのSmart Ship構想案が提示できないか」を検討した。その結果、「第八の大陸構想」に代替できそうな「都市型機能を有する海洋ごみ処理船舶」(仮称、妄想からスタートしたSmart Ship構想案)のアイディアを具体化できたので、一般口頭発表をしてご批判とご意見を頂きたい。日本には富士裾野市にSmart City構想(Woven City構想)が具体的に準備されつつあり、それを真似て「(仮称)Smart Ship構想案」と名付けた。

    これからのIP Landscape研究会においては、SDGsに沿った具体的な社会的ニーズテーマに沿って市民技術者勉強会を運営し、何らかの提案型・ビジネスモデル型提言を行うことが求められる。IP Patent Information ScientistとしてCitizen Scienceを実践することが求められている。それを実感できた。当PDG部会の活動報告も兼ねて、発表する。

    研究成果として、Backcast-IPL法にて将来を先読みした「海洋プラスチックごみから分別回収したプラスチックを救命道具類などの5つ製品にリサイクル製品化するビジネスモデル案」だけではなく、大型ごみ処理専用母船(Smart Ship)に関する5つの提言も行う。

04
  • OLD医中誌プロジェクトの紹介
    豊島 一平太
    p. 19-23
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/28
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    電子化を想定していない古書の電子化およびデータベースへの収載をどのような手順で進めたかについて、1903年から1982年発行分の医学中央雑誌に掲載された文献情報を、OLD医中誌として医中誌Webに掲載した業務経験から報告する。

    電子化は大別して、①データフォーマットの策定、②データの作成、③他サイトとの連携、の工程で行われた。①では既存のデータフォーマットへの移行を主眼に策定が行われた。②ではデータ化を外部委託し、当会でメンテナンスを行った。誤字、使用できない旧字などの問題は眼で確認し修正が行われた。③は電子化の結果として可能となった工程である。国立国会図書館から提供を受けたデータとのマッチング処理により医中誌Webから国立国会図書館デジタルコレクションへのリンクや、APIを用いた本文掲載サイトへのリンクを行った。

05
  • XSPAとJATS10年間の歩み
    中西 秀彦, 家入 千晶, 加藤 斉史, 三枝 央, 松田 真美, 小倉 辰徳, 渡辺 るみ子, 時実 象一
    p. 25-29
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/28
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    機械可読性とは文書形式を整えることで、コンピュータが書籍・雑誌等の文書を取り扱いやすくすることである。特に引用文献ネットワークで結ばれるオンラインジャーナルでは非常に重要であり、機械可読性を推進するための具体的方策としてXMLでの記述が進められてきた。欧米ではこのXML記述はほぼ行き渡っているが、日本での普及は遅れている。こうした状況下、米国NLMの医学雑誌用DTD、NLM DTDがJATSに発展し、すべての分野に汎用的に利用され、かつ日本語などの非ラテン文字言語にも適用されることが可能となった。XSPAはその機会を捉えて、日本とJATS検討委員会の橋渡しを担い、またXML記述の普及を目的として2012年に設立された。その後10年間、活動を行ってきたが、まだまだXMLによる機械可読性組版が普及するには至っていない。

06
  • テキストマニングによる発表内容の分析
    川本 敦子
    p. 31-36
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/28
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    情報科学技術協会(INFOSTA)が2004年より開催している情報プロフェッショナルシンポジウム(INFOPRO)は今回の2023年で20周年となる。これまでにINFOPROで共有された知識の蓄積を振り返るため,19年分の一般発表の内容を分析した。

    分析にあたり,J-STAGEから一般発表の抄録,キーワード,セッション等の情報を取得し,分析用データセットを作成した。

    一般発表の発表数の推移を見ると,第1回である2004年が最も多く,その後増減を繰り返している。開催時期の変更やコロナ禍の影響を受けた年は発表数が少ない。

    発表内容については,ワードクラウドと共起ネットワークを用いて,発表のキーワードを4つの年代で比較した。その結果,それぞれの年代で強調されるキーワードがどのように変化してきたかがわかった。セッションごとのキーワードを分析することで,各セッションのキーワードの傾向,共通のキーワードを介したセッション間の関係性を見出すことができた。

07
  • 最適な査読順位で精読から粗読に切り替える調査手法
    山本 隆治
    p. 37-42
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/28
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    知財AIによる査読順位のソートにより前半はサーチ特許が多いので精読し、最適な査読順位で粗読に切り替えることで、調査集合の調査時間を約1/2に短縮する効率的な特許調査手法について報告する。この調査手法を実現するための課題は以下である。①教師データ査読率を調査集合の何%とすべきか?②精読から粗読みをどこで切り換えるべきか?③AIと調査者の見落とし(偽陰性)をどうすれば抑制できるか?これらを合理的に解決できれば特許調査の効率化が図れると考える。

    アイ・ピー・ファイン社の知財AI「Deskbee」を使用し、サーチ率-ノイズ率をソートして査読順位を決めた。切替査読順位はサーチ抽出特性(AIによるサーチ抽出の期待値曲線)から演算した。サーチ抽出率特性はROC曲線と直交関係である。またAIを2回活用することで、AIと人の見落としを抑制した。本調査手法の検証は、平成25年度特許出願技術動向調査報告書「3Dプリンター」から調査集合を査読判定し、教師データ査読率15%、許容偽陽性率7.5%または定率10%(通常調査)・15%(SDI)の査読順位で精読から粗読に切り替えると調査効率が高いことを確認した。

08
  • 特許文書の類似文書検索、分類、俯瞰可視化検討
    安藤 俊幸
    p. 43-48
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/28
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    近年、知財業務で機械学習をベースにした人工知能(AI)使用して、特許調査の効率化や洞察力を加味する取り組みが始まっている。既に複数のAI利用特許調査ツールが商用利用されている。最近、世界的にもChatGPTをはじめとした対話型AI(生成系AI)がポジティブ・ネガティブ両面で大変注目を集めている。インフォプロにもこれらの新しいAIツールへの対応が求められる。最初に特許調査の分野においてBERTとGPTの共通点と相違点、対話型AIの問題点等に関して具体的に事例を示す。次に商用のAI利用特許調査ツールと比較しながらBERT、GPTによる特許調査の効率化検討を行った。より具体的には特許文書の類似文書検索、分類、俯瞰可視化を検討した。調査目的に応じてBERT、GPT等の特徴を理解して使いこなすことが重要である。

09
  • ウェブアプリケーション開発とChatGPTによる研究支援の可能性
    荻 多加之
    p. 49-54
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/28
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    研究力の分析や評価において、研究内容を適切な学術分野に分類することは重要である。しかし、専門外の人間が多数の学術テキストを客観的かつ再現性を持って分類することは非常に困難である。このような問題に対し、機械学習や自然言語処理技術の活用が模索されている(Goh et al., 2020)。

    本研究では大規模で広範な学術分野から構成される科研費の申請書データを用い、自然言語処理アルゴリズムであるBERTによって各研究課題がどの程度の精度で分類可能かを検証した。その結果、81%の課題が正しい審査区分に推定された。さらに研究力分析の場面を想定し、大量のデータを一度に分類可能なウェブアプリを構築した。

    今後、ChatGPTをはじめとした機械学習や人工知能技術の発展により、研究支援や研究活動自体への関与が深まることが予想される。日本の研究力が低下するという懸念の中で、人工知能の活用はますます重要になると考えられる。

10
  • 米国ファンディング機関が採択した研究課題を例に
    中辻 裕, 熊野 康孝, 中野 泉, 遠藤 智塁, 川越 康司
    p. 55-60
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/28
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    文部科学省では、米国のファンディング機関である米国国立科学財団(NSF)が実施する研究課題データを対象に、テキスト情報の分析調査を実施している。本稿では、文部科学省調査を例に、研究課題データのテキストデータを対象とした研究開発動向調査結果及び研究開発動向調査手法の今後の展望及び課題について考察する。

    調査の結果、NSFが優先的・横断的研究課題として位置づける技術領域が共起ネットワーク分析より可視化された。このような研究テーマは、米国だけでなく日本でも重要なテーマとされており、各国の研究開発の特徴を把握するためには、より詳細なキーワードを可視化する分析手法や視点が必要となる。また、データの抽出方法などを工夫すれば、現在行われている研究の特徴やこれまでの研究の変遷など、技術別の動向把握にも応用可能である。

11
  • 平井 克之, 上坂 明子
    p. 61-65
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/28
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    人文・社会科学では、研究成果の公表媒体として、国内学会誌への論文掲載や書籍での出版が選択されがちである。一方で、Web of Science (WoS)での「経済学・経営学」において、近年、日本の論文数は増加している。経済学及び経営学において、論文を公表する媒体として国際誌が担う役割が大きくなりつつあると考えられるが、役割の大きさの程度については明らかでない。本研究では、経済学及び経営学における雑誌の種別ごとの構成比を可視化することを目的として、WoS収録誌、国内学会誌、大学紀要に2012年から2021年に掲載された論文数を調査した。その結果、WoS収録誌の論文数の割合は、2012年の6%から2021年は17%に高まっており、経済学及び経営学の研究成果の公表媒体に関して、WoS収録誌は一定の存在感を示す状況になっていると考えられる。

12
  • 作成過程で浮上した課題とそれへの対応
    狩野 修二, 岸 真由美, 佐藤 幸人, 澤田 裕子, 二階 宏之
    p. 67-71
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/28
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    アジア経済研究所が取り組んだ研究プロジェクト「日本語による発展途上国研究に対する科学計量学的アプローチ」は、日本における発展途上国・地域研究の引用分析を行うことを目的としていた。日本語論文の引用索引データベースは存在しないため、プロジェクトでは『アジア経済』をソースとするデータベースの作成から始めることになった。本報告では、その過程で直面した課題と問題、およびそれへの対応を明らかにする。

    データの入力においては、表記の統一やタイトルの特定が課題となった。分析を行うために被引用文献の種類を分類したが、明確に判別できないケースが少なからずあった。また、先行研究と資料を区別したが、両者の間に画然とした境界はなく、区分には曖昧さが残ることになった。

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