本研究では、特許出願を戦略的に行っていると考えられる中小企業を選択し当該企業により形成された特許出願網が同業他社にどのような影響を与えたのかを検討した。介護入浴装置業界のマーケットリーダーであるO社を分析対象として選定した。O社を含む主要3社は介護入浴装置市場において市場シェアを伸ばし、現在では寡占市場を形成している。このような状況を形成する上で3社の特許出願網が寄与していると仮定し、主要3社の出願が他社出願の権利化阻止、つまり拒絶査定での引用として挙げられた件数を確認した。そのうえで主要3社の引用文献群の中でのO社の占有率を評価した。さらに、O社の出願の特徴及び知財戦略の関係について検討した。