科学技術振興事業団(JST)では科学技術文の翻訳を目的とした英日機械翻訳システムの構築に際して、新たな機械翻訳手法として注目されていた用例方式に着目し、ATR音声翻訳通信研究所の研究成果である変換主導型機械翻訳(TDMT)を翻訳エンジンとして取りあげ、科学技術文献抄録に試験的に適用した。その結果、TDMTエンジンが科学技術文の翻訳に関しても有効であることが確認された。そこで、平成12年度に、TDMTを翻訳エンジンとした用例主導型英日機械翻訳システムの実用化に向けた整備を行い、平成13年7月より、JSTで提供している分散型デジタル・コンテンツ統合システムの一機能として提供を開始した。本稿では、TDMTエンジンの概要、実用化に向けた整備内容、今後の課題について述べる。