日本知財学会誌
Online ISSN : 2759-6753
Print ISSN : 1349-421X
特集論文
木を原料とした新規酒類の製造技術とお酒としての可能性,社会実装に向けた知財・認証制度戦略
大塚 祐一郎, 松原 恵理, 野尻 昌信, 楠本 倫久, 森川 卓哉, 山下 直子, ナバロ ロナルド
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2026 年 23 巻 1 号 p. 42-51

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抄録

森林総合研究所は,木材に水を加えて細胞壁の厚さを砕く「湿式ミリング処理」技術を開発した.この技術によって,熱や薬剤を用いずに細胞壁に埋め込まれたセルロースを露出させ,酵素糖化と酵母発酵によってアルコールを生成する「木の酒」の製造が可能となる.「木の酒」は木そのものを酒精源(アルコール源)とする世界初の酒類であり,樹種ごとに異なる香り成分と発酵由来の複雑な風味を醸し出すことができる.また年輪に保存された木が生きてきた全ての年のセルロースからできたアルコールが含まれるという時間的価値を含む点も特徴である.基本的な安全性試験により問題となるデータがないことを確認し,特許実施許諾,技術移転研修,認証制度の整備を通じて社会実装を推進している.本技術は国産材の高付加価値化や林業振興,山村地域の活性化への貢献が期待されている.

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