2023 年 14 巻 1 号 p. 1-6
衛星航法システムに対する補強情報を送信する補強システムとして,静止衛星を使用するSBAS(Satellite-Based Augmentation System)が標準規格となっている.SBASが送信する補強情報にはユーザ位置に応じて適切に測距精度を見積もるためのクロック-エフェメリス共分散行列がメッセージタイプ28として含まれているが,このメッセージは当初のSBAS規格では規定されていなかった.メッセージタイプ28を含まない当初規格に対する後方互換性を確保するために,現在のSBAS規格ではメッセージタイプ28を受信しない場合の動作が規定されている.このため,メッセージタイプ28の受信前であってもユーザ受信機はメッセージタイプ28を使用せずに動作でき,メッセージタイプ28の存在を前提として完全性パラメータが生成されている場合には所要の完全性が確保されないことがあり得る.MSASを対象としてこのような動作をする可能性を調査したところ,実際にそのようなタイミングがわずかながら(約0.14%)あることを確認したので,回避策とともに報告する.