2024 年 15 巻 1 号 p. 1-9
PPP-RTKの観測モデルがフルランクではないことから,衛星クロック誤差,コードバイアス,位相バイアス,STEC等の補正データの物理的解釈は,一般にサービス提供側の方式により異なる.そのためサービス提供側とユーザ側との相互運用性が課題であった.本稿では2つの基準信号のコードバイアスと,ピボットとなる基準点のSTECに拘束条件を付けることで,電離層フリーと幾何フリー結合の観測モデルに基づいて生成した補正データを,非結合の観測モデルを用いた測位アルゴリズムで処理できることを数理的に示す.サービス提供側の観測モデルが非結合/結合であることによらず,ユーザ側で同じアルゴリズムで測位できることを示し,RTCMでのSSRメッセージの標準化の一助とする.