抄録
重症心身障害児(者)87例について血中遊離アミノ酸19種を測定し, その最低値と最高値, 平均値, 標準偏差, 平均値±2SD, を表示した. この値はHsiaの小児正常値に比べてグルタミン酸の症例平均値のみがわずかに高く, 他のアミノ酸の症例平均値はすべて低値を示す傾向がみられた. 特にアスパラギン酸, プロリン, アラニン, ヒスチジン, アルギニンはHsiaの正常範囲を考慮すると低値の傾向が強く, シスチンが最も低値を示した. 個々の症例ではプロリン, ヒスチジン, シスチンに低値が多く, グルタミン酸, グリシン, リジンに高値をみるものがある. 一般に重障児ではやや低い値を示す傾向にあつたといえるが, これは食事摂取に多くの面で障害があり, 運動も少ないことなどによるものと思われたが, 食品中の成分は十分であるので体重増加の少ないあるいは減少する症例には非経口的にアミノ酸剤を投与する必要も考慮された.