医療
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注射薬の溶血性について
吉田 美保子江本 邦子飯島 弘子渡辺 悦子山口 史郎後藤 尚夫
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1976 年 30 巻 2 号 p. 160-165

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抄録
薬剤の血液障害は年々増加し, 特に注射薬の溶血性については, 日本薬学会第94年会において新たに提起されたが, 私たちは当院で使用している主として筋注の注射薬116例につき溶血を調べたので報告する.
実験:方法として, 無色透明のものはヘモキツトN法及び541mμにおける吸光度法によりHbを定量し, 有色のものはベツクマンNF-IB型原子吸光度計によりFeを定量して溶血性を調べた. 浸透圧はオスメツト浸透圧計2007型を用いた.
その結果, 不溶血は42%にすぎず, 溶血を示したものの42%に変色が認められ, 完全溶血は27%であつた. pHについては, pH3.0以下, pH8.0以上で溶血が認められ, 中性付近においても約半数が溶血または変色した. 浸透圧においては, 4000mos以上, 120mos以下において完全または不完全溶血が認められ, 生理的浸透圧付近でも, 溶血または変色を約半数が示している.
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