谷本学校 毒性質問箱
Online ISSN : 2436-5114
〈不純物・添加剤〉
1.医薬品不純物・添加物等の安全性情報調査の実際
岡橋 典子
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2023 年 2023 巻 25 号 p. 64-69

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抄録

 医薬品製剤には、有効成分以外にも多くの化学物質が含まれている。すなわち、原薬に含まれる不純物、患者の服用に適した形に製剤化する過程で製造設備や器具、水、容器及び施栓系から混入する不純物、製剤化を容易にしたり安定性を高めたりする等の目的で加えられる添加物等の化学物質がそれに当たる。

 意図する、意図しないに関わらず、患者が服用する以上、これら医薬品製剤中に存在する不純物や添加物についても安全性を評価する必要がある。しかしながら、多くの時間と費用をかけて試験を行い、その薬理作用や安全性を明らかにする有効成分とは異なり、不純物や添加物について、全ての安全性試験を新規に実施することは基本的に難しい。そこで、不純物や添加物の安全性は、ICH(International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use)ガイドラインで設定されている指標値を用いて判断する、既存のデータベース等から安全性情報を調査し、リスク評価を行うといった方法が選択される。

 本稿では、ICH ガイドラインの不純物に対する指標値、及び安全性情報の調査に用いられるデータベースの例を紹介し、調査した安全性情報をもとに許容一日曝露量(Permitted Daily Exposure: PDE)を算出する方法について概説する。

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© 2023 安全性評価研究会
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