医療
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亜急性腎炎の像を呈したSLEの1症例
渡辺 哲樋口 敏夫速水 一雄
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1976 年 30 巻 3 号 p. 256-259

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抄録
見事な半月体形成を伴う亜急性腎炎の型を呈したSLEの1症例を経験した.
症例は35才, 女, 高血圧と浮腫の精査のため入院した. 検査で, 貧血, 血尿を伴う蛋白尿, 腎不全, 血沈促進がわかつた. 腎生検では著明な半月体形成がみられ腎組織は高度に荒廃していた. 抗核抗体強陽性, 補体低値を示し, ARAの診断基準を満たすことから, SLEと診断し, 亜急性腎炎の像はその腎病変と判断した. ステロイド, 免疫抑制剤投与, 透析療法を強力に行つたが, 出血傾向は改善されず大量出血で死亡した. 剖検でWire-loop病変, Onion1skin病変などがありSLEと確診できた. 興味深い点は生検時に比し剖検時の腎組織は, 半月体を有する糸球体がほとんどなく, 全体として改善されていた点であつた. ステロイドなどの作用によるものかとも推測されたが原因は明確ではない. ただしこのようなことも起こりうる可能性があると思い報告した.
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