1977 年 31 巻 1 号 p. 80-83
慢性呼吸不全の増悪期には急激な心胸郭係数の増大と尿量の減少がみられることがある. 一方Shockの際には肺循環不全, 腎血流量減少がみられる. LilleheiはShockの本態は末梢血管収縮を主徴とする循環不全であるといい, その治療は末梢血管拡張剤が有用であると述べた. Phenoxybenzamineは交感神経のα-受容体遮断剤で最近Shockの治療剤として注目を集めるようになつた. 我々はこの薬を呼吸不全増悪期の患者に使用し, 一たん減少していた尿量を著明に回復することができた. 呼吸不全増悪期における乏尿には利尿剤の効果が悪いことが多く, 本例ではPhenoxybenzamineを試用し良い結果が得られた.