腎移植の適応を定め, 透析をつづけるべきものと, 移植を行うべきものとをふるい分けるために, 死体腎移植希望患者の登録を始めたので, 現況を報告する. 総数は400名で, そのうち現症など調査を行いえたものは220名である. 身体状況を表すと思われる血圧, 尿量, 心胸比, 就業率の相互の関係について調べてみると, 収縮期圧との関係では, 血圧の上昇と共に尿量は減少し, 心胸比は増加の傾向にある. 血圧が200mmHg以上になると, 就業率は0%となる. 拡張期圧との関係をみると, 同様の傾向があり, 特に110mmHgを越えると就業率はぐんと落ち込む. 以上の事柄より, 透析患者の一般状態の評価は, “血圧”が一つの良い指標であり, また収縮期圧200mmHg以上, あるいは, 拡張期圧110mmHg以上になると, 透析では治療効果があげにくいといえ, その予後も悪いと想像される. 登録患者の15%がこの範囲にあり, この中にかなり急いで腎移植を必要とするものが存在していると思われる.
抄録全体を表示