医療
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31 巻, 1 号
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  • 佐藤 昭雄
    1977 年 31 巻 1 号 p. 13-16
    発行日: 1977/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    標準体重の-20%以上とるい痩のみられた慢性消耗性疾患々者35例を対象として尿中17-OHCS排泄量を指標としてACTH-testとMetopirone testを行い下垂体副腎皮質機能を検討した.
    1)尿中17-OHCS排泄量は悪性腫瘍の3例のみ低値で他はすべて正常範囲内であつた.
    2)ACTH-testでは3例のみ反応不全で部分的副腎不全がみられた.
    3) Metopirone testでは23例中8例に不全反応がみられ約1/3にLimited pituitary reserveが認められた.
    これらの成績より副腎皮質機能に大きな異常を認めないが下垂体機能により強く影響を及ぼすものと思われた. 体重減少というよりはむしろ慢性消耗性疾患の結果であると思われる.
  • 1. 受腎者の移植適応に関する研究
    神谷 定茂, 横山 健郎
    1977 年 31 巻 1 号 p. 17-20
    発行日: 1977/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    腎移植の適応を定め, 透析をつづけるべきものと, 移植を行うべきものとをふるい分けるために, 死体腎移植希望患者の登録を始めたので, 現況を報告する. 総数は400名で, そのうち現症など調査を行いえたものは220名である. 身体状況を表すと思われる血圧, 尿量, 心胸比, 就業率の相互の関係について調べてみると, 収縮期圧との関係では, 血圧の上昇と共に尿量は減少し, 心胸比は増加の傾向にある. 血圧が200mmHg以上になると, 就業率は0%となる. 拡張期圧との関係をみると, 同様の傾向があり, 特に110mmHgを越えると就業率はぐんと落ち込む. 以上の事柄より, 透析患者の一般状態の評価は, “血圧”が一つの良い指標であり, また収縮期圧200mmHg以上, あるいは, 拡張期圧110mmHg以上になると, 透析では治療効果があげにくいといえ, その予後も悪いと想像される. 登録患者の15%がこの範囲にあり, この中にかなり急いで腎移植を必要とするものが存在していると思われる.
  • 片岡 喜久雄
    1977 年 31 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 1977/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    脳卒中で本院に入院し, リハビリテーシヨンを実施して退院した患者が, 退院後5~10年を経過したとき, 運動機能障害が退院時の状態からどのように変化するかを知るため, A. D. L. を中心としてアンケート調査を行つた. 入院時体位の変換, 起立など全くできなかったものは約40%あつたが退院時には5%となり, 退院後5~10年で15%に増加していた. また衣服の着脱では入院時約60%は全くできなかつたが退院時には約5%となり, 現在では再び20%に増加した. 脳出血と脳血栓に分けてみると血栓のほうが悪化する例が多い. また女は男より悪化する傾向がある. さらに発症時59才以下の群では退院時と退院後にA. D. L. の状態に差はみられないが, 60才以上の群では退院までの期間では59才以下の群と軽快率に差はみられないが, 退院後は悪化する例が増加している. とくに起立, 摂食, 衣服の着脱で悪くなる傾向がみられる.
  • ―分裂病退院後アフターケア患者の再発予防および治療に関する研究―
    清水 英利
    1977 年 31 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 1977/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    私は分裂病退院患者を常時30~40名受持ち, 再入院予防を目的として10年間アフターケアを行つてきた. 現在2年以上社会生活を維持できたものが12名あり, 就職6名, 家業従事2名, 家事従事2名などすべて就労していた. 長期間社会生活を維持できた諸要因として
    1)大部分が定期通院と服薬持続をしている
    2)全例において家族の協力が良好である
    3)家庭の経済状態は中流以上が多い
    4)在院期間は短く1年未満が多い
    5)病前に就労経験のある若い人が多い
    6)患者の好む夜勤のない対人関係の容易な過労にならない持続的な仕事がある
    7)精神衛生法32条と43条は通院中断防止に役立つている. 再発の誘因には服薬中断, 過労, 通院中断, 精神緊張が多く, 再発時初発症状は不眠, 幻聴, 好褥などが多かつた.
  • 池田 裕
    1977 年 31 巻 1 号 p. 37-45
    発行日: 1977/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    高脂血者にDextran sulfate (DS)を静注する際, 血清リポ蛋白電気泳動像が変動して, Pre-βとβとの間にMid-bandが出現するが, それが本来のMid-bandと免疫学的に同一であり, 共にリポ蛋白代謝過程でのRemnantであろうと推論した. また, Mid-bandと冠虚血との相関性を示す報告があるが, 器質的病変に一致・出現する特異蛋白ではなくて, 高中性脂肪(TG)・高遊離脂酸血症に頻度が大なRemnantであろう. ところで糖尿病に高TG血症が合併しやすいことは周知のことだが, Control前の60例とその中から追跡できたControl良好な30例について, 本来のMid-band及びDS注射後出現のMid-bandが出現する際の病態を検討した結果, Mid-band出現の有無による病態の差異として, TG・空腹時血糖値・OGTT後の最高血糖値についての有意差が得られた.
    これより, 糖尿病のControlの面から, そして, 冠虚血合併予防の面からも, Mid-bandが出現する病態は好ましくないと考えられた.
  • 日本における食事療法:理論と実際
    赤沢 好温, 小出 操子
    1977 年 31 巻 1 号 p. 46-50
    発行日: 1977/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    現在の糖尿病食事療法は, 肥満過食を防ぐため, 標準体重を維持する程度のカロリー制限を厳重に守り, 同時に栄養素のバランスをとることに細心の注意を払うこと, 食事摂取を3回以上に分け, その度毎にその食品の質量を同じくすること, インスリンや経口剤による薬物治療の際に, 糖質の配分が血糖値の円滑な調節に役立つ, 日本人の食生活は食品の種類が多種類にわたるが, これに即して日本糖尿病学会編医師栄養士患者にすぐ役立つ糖尿病治療のための食品交換表が, 医師, 栄養士, 患者のテキストとして最適である.
    そして個人の患者に食品交換表を理解させると共に, 体重, 血糖値, 合併症の推移を見ながらきめのこまかい根気のよい治療の指示が医師に期待される. 病状の増悪に際しては, 薬物の増量より, まず食事療法の乱れについて検討することが肝要で, 患者に対する食事, 運動などについての教育こそ糖尿病治療の基礎である.
  • 玉城 欣也, 岡山 昌弘, 弥永 竜琅
    1977 年 31 巻 1 号 p. 51-53
    発行日: 1977/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    私どもは今回糖尿病によると考えられる瞳孔散大を伴つた, いわゆるPseudo-Argyll Robertson瞳孔を経験し, 若干の瞳孔に対する検査を試みたので報告する.
    症例は25才の女性で全身倦怠感, 羞明を主訴として当科入院. 約8年前より糖尿病と診断されインスリン療法を受けていたが, コントロールは不十分であつた. 約2年前から全身倦怠感, 着明, 下肢のじんじん感出現した. 瞳孔はやや楕円形(両側とも6×5mm), 対光反射なし, 近見反射あり. 2.5%メコリル点眼に反応なく, 1%ピロカルピン, エゼリン点眼にて瞳孔は縮小する. 以上により, 瞳孔括約筋及びその支配神経終板までは障害がなく, 更に中枢側の障害部位が想定されたが, 詳細な障害部位は解明するに至らなかつた.
  • 仲村 保広, 並川 和男, 中村 良昭, 河野 秀親, 永吉 正和, 緒方 和郎, 田上 正昭
    1977 年 31 巻 1 号 p. 54-58
    発行日: 1977/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    心疾患を過去に指摘され, 前胸部痛と心拡大を心配して来院した25才の男子を精査したところ, 心房中隔欠損症(ASD)に前縦隔洞腫瘍を合併していることが判つた. 腫瘍は心エコー図(UCG)によるとCystであつたが, 腫瘤陰影が急激に増大するので, 同一術野から一期的に, 腫瘤摘出と中隔欠損孔の閉鎖とを行つた. 腫瘤は13×9×5cm, 重さ380gの奇形腫であり, 割面の性状はUCG所見とよく一致していた. なお組織学的には悪性像は認められなかつた.
    この症例の診断過程において, UCGは極めて有益であつたので報告する. なおASDに前縦隔洞腫瘍を伴つた例も稀有なものと思われる.
  • 山田 学, 小原 邦義, 酒井 章, 柳沢 正敏, 安西 信行, 川勝 岳夫, 藤倉 隆
    1977 年 31 巻 1 号 p. 59-64
    発行日: 1977/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    7才, 女児にみられたExtralobar pulmonary sequestrationの1手術例を報告した.
    本症は新生児・乳児に多いとされているが, 本邦では我々の症例が手術例では最年少例である.
    本症の手術症例のうち術前診断のついている例はごくわずかであり, 最近, 本症の確定診断に逆行性大動脈造影の重要性が強調されている.
    本症は肺の先天性疾患の中でもまれなものとされているが, 新生児・乳児のRespiratory distressの原因疾患として注意が必要であり, 左胸腔内に境界鮮明な腫瘤陰影をみれば本症を疑う必要があると思われる.
  • 杉山 雄一, 小舘 昭示, 鈴木 康紀, 山形 尚正, 土田 博, 笹村 雅人, 三上 俊郎, 鎌田 義正
    1977 年 31 巻 1 号 p. 65-67
    発行日: 1977/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    61才, 男子, 農業. 昭和49年10月11日, 胃がんの診断のもとに上正中切開で開腹したが, 切除不能で診断的開腹術に終つた.
    術後はがん化学療法を行つていたが, 約9ヵ月後に上正中切開瘢痕下に硬結を触知し, さらに硬結による圧迫感や疼痛を訴えるようになり, X線検査で腹壁内に異常骨陰影が認められた. 昭和50年11月11日, 開腹創瘢痕内異所性骨形成の診断で, 硬結の摘出術を行つたが, 硬結は皮下脂肪層, 左右両腹直筋, 腹膜に囲まれ, 剣状突起よりは完全に遊離して存在し, 大きさは8.5cm×1.5cm×0.5cmであつた.
    組織学的には骨髄を伴う骨組織の新生が認められた.
    患者は昭和51年1月13日, 悪液質のため死亡したが, 瘢痕内の骨形成の再発はみられなかつた.
  • 水庭 弘進, 横須賀 達也, 乃木 道男, 渡辺 哲, 星野 恒夫, 大野 敏巳, 中沢 恒夫, 丹生屋 公一郎
    1977 年 31 巻 1 号 p. 68-71
    発行日: 1977/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    我々は最近, 14才, 男性で, 感冒罹患後の一過性呼吸困難を主訴とする, 右大動脈弓, 大動脈憩室(左背側大動脈幹第8分節遺残), 左鎖骨下動脈起始異常を伴つた不完全型血管輪(Edwards IIIB型)の1症例を経験した. 精査の結果, 手術の必要はないと考え, 今回, 手術は行わなかつた. しかし血管輪は比較的希な疾患であり, 且つ, この症例の臨床経過, 胸部X線写真, 大動脈造影, 気管支鏡検査などで興味ある所見が得られたので報告する. またこの症例は, 自覚症状を有する血管輪の手術適応を考える上でも興昧ある症例であると思われる. 血管輪の中には, ここに述べる症例のごとく, かなりの自覚症状があつて一見, 手術適応ありと考えられるような症例でも, 検査をしてみると案外, 解剖学的変化が軽く手術適応外のものもあると考えた次第である.
  • 石山 和夫, 笠島 学, 木村 忠
    1977 年 31 巻 1 号 p. 72-75
    発行日: 1977/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    胃切除術後にみる後遺症には, その原因も多岐にわたることが少なくなく, 治療に関しても困難な場合が多い. 1) Billroth II法を行つた術後には, 輸入脚に関連した問題が愁訴の原因となつているものが少なくない. すなわち輸入脚症候群と称されているものには, 摂取した食物の輸出脚への通過は認められるが, 腸液や胆汁, 膵液などの通過が妨げられた結果おこる場合と, 盲嚢となつた輸入脚内に食物の一部が進入して消化液と混合してうつ滞を起こした結果生ずるいわゆる盲嚢症候群などがある. いずれにせよ術後愁訴としてのダンピング症候群や逆流性食道炎などと共に食事摂取に伴つて起こる愁訴として患者を悩ますものである.
    我々は最近これら輸入脚症候群の非典型的な型ではあるが, 摂取した食物の通過不全状態に悩まされていた症例に対し, 再吻合術を行うことによつて愁訴の改善をみることが出来た経験を持つた.
  • 武田 純三, 真木 博幸, 川添 太郎
    1977 年 31 巻 1 号 p. 76-79
    発行日: 1977/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    針麻酔は頭頸部の手術に対する成功率が他の部位に比べ高いといわれている. 我々は脳神経外科の協力を得て, 2例の脳硬膜下血腫除去術に針麻酔を試みた. 術中は, 呼吸, 血圧は安定しており, 意識も鮮明であつた.
  • 木下 準四郎, 菅村 昭夫, 段塚 敏英
    1977 年 31 巻 1 号 p. 80-83
    発行日: 1977/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    慢性呼吸不全の増悪期には急激な心胸郭係数の増大と尿量の減少がみられることがある. 一方Shockの際には肺循環不全, 腎血流量減少がみられる. LilleheiはShockの本態は末梢血管収縮を主徴とする循環不全であるといい, その治療は末梢血管拡張剤が有用であると述べた. Phenoxybenzamineは交感神経のα-受容体遮断剤で最近Shockの治療剤として注目を集めるようになつた. 我々はこの薬を呼吸不全増悪期の患者に使用し, 一たん減少していた尿量を著明に回復することができた. 呼吸不全増悪期における乏尿には利尿剤の効果が悪いことが多く, 本例ではPhenoxybenzamineを試用し良い結果が得られた.
  • 脳腫瘍一髄膜腫
    与那原 良夫, 佐々木 由三, 高原 淑子, 三神 柏, 泉 周雄
    1977 年 31 巻 1 号 p. 84-85
    発行日: 1977/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 31 巻 1 号 p. 87-88
    発行日: 1977/01/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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