1977 年 31 巻 11 号 p. 1294-1297
久米島のらいの疫学的状況を昭和13年以降38年間について分析すると, かつて罹患率0.536‰という猖獗期にあつた久米島も近年ようやく0.205と鎮静状態に入つたかに見えるが, 詳しく仲里, 具志川両村について調べてみると, 仲里村は昭和45年までは罹患率0.838‰から0.443‰とらいが多発し, 近年やつと0.074‰に減少した. 逆に具志川村は昭漁40年までは0.085‰から0.257%の間にあつたが, 昭和41年以降0.548‰と増加し, 近年でも0.366‰を示し, らいが多発しつつあることがわかる. この傾向はL型比, 小児比によつても明らかといえる. この事実はまた, 昭和47年以来5回に亘るらいの調査結果でも, 仲里村に新患者発生がなく, 具志川村にのみ限られて発見されていることによつても裏づけられる久米島という小さな島の隣接せる2村のらいの疫学的状況にこのようなズレの見られることは注目すべき事柄である.