医療
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31 巻, 11 号
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  • 束村 道雄
    1977 年 31 巻 11 号 p. 1187-1196
    発行日: 1977/11/20
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    Group IV抗酸菌で, 現在まで, ヒトに感染したと報告された菌種は, M. fortuitum. M. chelonei (M. chelonei subsp. chelonei)及びM. abscessus (M. chelonei subsp. abscessus)の3種である. この3種の分類, 命名について, なお, 分類学者の意見が一致しないため, 文献に現れる名称についても混乱がみられる. 本編では, これらの分類, 命名に関する現状を紹介するとともに, 1976年までに報告された感染症と, その文献を紹介した.
  • 石塚 玲器, 前川 隆, 小野寺 功, 佐藤 知義, 佐藤 龍也, 山端 一宝, 栄井 清, 吉川 泰生
    1977 年 31 巻 11 号 p. 1197-1204
    発行日: 1977/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    過去5年間, 当院において実施した高カロリー輸液(IVH)の適応疾患は, 慢性栄養障害, 吸収不全症候群, イレウス, 腹膜炎, 膵炎, 多発性骨髄腫, 消化管瘻孔(縫合不全を含む), Short bowel syndrome(大量消化管切除), 大量消化管出血, 広汎熱傷, 先天性消化管異常, 照射後腸炎, 意識障害+下痢, 呼吸不全を含むShock, 肝不全(肝障害と腹水), 悪性腫瘍の手術と制癌剤療法との併用など, 多数の症例, 多様な病態に及んでいる. 栄養液処方も現在は, 市販製品を中心に組み合わせ, 管理面でも, 安全, 確実でかつ省力化をすすめてきた. 特殊病態下におけるIVHの経験を通して, 生体のホメオスターシスが崩れた場合, 体液, 代謝異常のタイムリーな調整と併行して, IVHの栄養素の配合, カロリーの調整に原疾患の根治性を加味した弾力的, 効果的なIVHプログラムが必要となる. 著者らの貴重な経験となつた症例をあげ, 輸液バランスよりみたIVHの問題点につき述べた.
  • 佐々木 伸弥, 竹林 治朗, 山田 信行, 旦 明良, 神野 健二, 山本 春美, 島原 美須子, 鈴木 成憲
    1977 年 31 巻 11 号 p. 1205-1208
    発行日: 1977/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Indocyanine Green (ICG)およびBroxnsulphalein(BSP)は肝機能の指標として一般的に利用されている. 我々はICG試験を総数3,165回, 延1,704名に行い, 次の検討をした. ICGは体重当り0.5mg静注し, 症例によりBSPを体重当り5mg静注し, 血中停滞率(R)および血中消失率(K)を求めた. R値が60%以上のものが1,704例中86例(50%)あり, そのうち74例が肝胆道疾患で, 12例は他の種々の疾患が含まれ, 5例はICG(K)の著しい遅延とBSP(K)の正常または軽度異常のある, いわゆるICGとBSPの解離症例であつた. これらの症例を2年間に4-5回検査したがICG(R)値には変動がなかつた. 5例中2例に肝生検を施行したところ慢性肝炎と脂肪肝を認めた. 重篤な副作用が1例でみられ, アナフイラキシーシヨツクとなり, 治療により回復した.
    ICG血中消失遅延には体質性因子が関与していると考えられ, これらの症例ではICG試験は肝機能の指標として利用できない.
  • ―特にデキストラン排泄量について―
    百瀬 隆
    1977 年 31 巻 11 号 p. 1209-1213
    発行日: 1977/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    40例の患者を対象に, デキストラン70製剤の溶媒に関する研究を行つた. 患者を無作為に20例ずつ2群に分け, 1群には, パンアミンD(DA群)を, 他群にはデキストラン70生食注(DS群)を, それぞれ術中に1000ml投与した.
    術後24時間の尿中デキストラン排泄量はDA群(66.8±10.3)とDS群(555±13.0)との間に有意差(P<0.01)が見られ, アミノ酸液を溶媒とすることによつてデキストランの尿中排泄は促進された.
    血圧を指標とするデキストラン70の効力については両群間に差がなく, また, 術中十分維持出来た.
  • 第1報 10生存症例の臨床検査成績
    池崎 英文, 加崎 悠紀夫, 佐野 栄二郎, 福田 一雄, 松山 直矢, 塘 普, 久保 保彦, 薬師寺 英邦, 吉井 弘文
    1977 年 31 巻 11 号 p. 1214-1223
    発行日: 1977/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    九州地区における「トロトラスト」注入生存者28名の報をうけた著者らは, 久留米大内科, 長崎大原研, その他の援助下に, これら生存者の臨床的研究に着手し, 第1報として10例の現在検査を終了した結果を報告した. この研究目的は, 高橋, 森らの本邦における「トロトラスト」晩発障害に関する研究の一部をなす「トなトラスト注入生存者のProspective follow up study」に協力するためである. 検査成績を表示するとともに次の諸点に言及した. 1) ALP, LAP, γ-グロブリンの軽度上昇傾向, 2)末梢血液像で異型幼若リンパ球および骨髄球, 後骨髄球の出現傾向, 3)骨髄網内系細胞の比較的増加傾向, 4)6年間追跡し現在肝硬変を経て肝細胞癌になり治療中の1例, 5)肝, シンチ, 腹腔鏡像の特徴所見, などである. なお生存症例は増加傾向にあり, 上記の点に注目しながらProspectiveな観察をつづける予定である.
  • 第6報 術前術後の赤沈及び末梢血液所見の変動
    乾 晁, 向田 能和, 野島 鉄人
    1977 年 31 巻 11 号 p. 1224-1228
    発行日: 1977/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    病状進行状態中等度以上の歯周病に対し, 一顎を1回ずつ, 全顎を2回で完了する歯肉剥離掻爬手術を施行した患者47例につき, 赤沈, 血液像, 白血球分類及び血清蛋白分画術前術後の変動並びに術後経時的変動を観察し, 本手術の効果及び影響を明らかにした. 1. 術前の赤沈値は軽度促進を示し, 術後著明に改善を見た. 2. 術前の血液像は正常範囲内でやや低い数値を示し, また白血球分類像は軽度に左方移動型を示した. 術後血液細胞数は減少傾向を示し, 9~14週後に回復する傾向を示した. また白血球分類像は術後右方に修正された. 3. 経時的観察を術後3週, 4~8週, 9~14週に区分して行つたが, 術後3週では各検査成績の所見において, 改善傾向はなお不十分で, 4~8週で明らかとなり, 治癒機転はかなり長期継続される傾向がうかがわれた. 4. 本手術の侵襲による影響は, 術後3週ではなお残つているものと思われた. 血清蛋白分画については次報で示した.
  • 沢村 献児, 南城 悟, 中村 憲二, 飯岡 壮吾, 森 隆, 近森 淳二, 長岡 豊, 小西池 穣一
    1977 年 31 巻 11 号 p. 1229-1235
    発行日: 1977/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    過去10年間の自験自然気胸症例240例を分析し, 最近著増している原因究明の一端とすべく, 過去2年4ヵ月間の自験開胸症例230例についてブレブの発生状況とその解析を行つた. すなわち自然気胸を除いた症例の20.6%にブレブが存在し(男性:28.7%, 女性:3.2%), その背景因子の種類とは余り相関はなく, 住居歴, 職業歴, 喫煙歴とも相関はなく, 40才以上の女性にはブレブの発生を認めなかつた.
    治療上の問題点として, 我々の手術適応を述べると共に, 術後再発を繰り返した症例, 持続吸引中の一側性急性肺水腫などの特殊症例について注意を喚起すると共に, 治療上の最近の趨勢についても触れた.
  • 小野 勝
    1977 年 31 巻 11 号 p. 1236-1239
    発行日: 1977/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1)肺結核の手術数は著しく減少し, この10年間に1/5になつた. 中でも, 膿胸や手術不成功例の手術が多く, 純粋の肺結核の手術に限ると1/10に減少している.
    2)肺結核外科療法の適応は化学療法の治し得なかつた範囲に限られるが, 菌陰姓症例について, 従来よりも手術適応と考えない方向へ動いていることが手術数減少の大きな原因である.
    3)手術成績は著しく改善された. 東京病院では成功96%, 死亡0.6%, 合併症1%である.
    4)輸血後肝炎は輸血用血液のHB抗原スクリーニングで著しく減少したが, 術後の肝炎についてはHB肝炎以外のものを十分注意すべきである.
    5)手術関連の呼吸不全患者はかなり多く, また比較的重症である. 今後は適応を選ぶ際この点の十分な配慮が必要である.
  • 松山 智治, 八塚 陽一
    1977 年 31 巻 11 号 p. 1240-1245
    発行日: 1977/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    今日, 肺癌治療の主体は外科療法であることに異論はなく, なかでも治癒切除率の向上がそのまま肺癌治療成績向上に直結することから, 早期発見への努力があらゆる方面でなされている. 一方, 入院してくる患者の大半が進行癌であるという現実があり, この傾向は国療においても同様で, これが対策に各施設苦慮している.
    そこで今回, 国療肺癌研究会が参加24施設の協力を得て, 昭和47, 48, 49年の3年間に登録した原発性肺癌1,570例のうち, 外科療法の対象となつた518例(33%)について, その手術内容, 手術成績, 予後(3年生存率)合併治療の内訳などにつき検討を加え報告するとともに, 国療における肺癌外科療法の問題を二, 三提起し治療成績向上のための参考資料とした.
  • 長野 準, 芳賀 敏彦
    1977 年 31 巻 11 号 p. 1246-1255
    発行日: 1977/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    動脈血ガスが異常値を示し, そのため息切れを主訴とし正常な機能を営み得ない例を呼吸不全と呼んでいる. かかる症例は急性期のIntensive CareからRehabilitationに至る幅広いCareを必要とする. そこで, 国立療養所に入所中の患者の中で, このような症状を示す患者についてその背景となつている原因は何か, 呼吸不全のどの程度の者がどのような割合で入院しているのか, 急性増悪の原因は何か, 生理学的, 病態的, 生化学的, 血液学的変化は何がどの程度起つているのか, また主にどのような治療がなされているのか, このようなことを分析して今後のかかる症例に対する医学管理的アプローチの方法と程度, また社会科学的なアプローチを考え実行し, 国立療養所がかかえている呼吸不全の問題を解決しようとした. 今回は約500例に上る症例を分析し, かかる問題解決への大きな足がかりが出来上つた.
  • 望月 立夫, 村上 慶郎
    1977 年 31 巻 11 号 p. 1256-1266
    発行日: 1977/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    国立療養所に入所している脳卒中患者について, 昭和51年4月1日に, 本会で作製した調査表により, 調査集計した.
    調査施設数は81ヵ所, 脳卒中患者総数は1650例であつた. 患者の年令は60才台が一番多く, 651例(39.4%)で, 70~74才が267例(16.1%)であつた. 病型は脳出血が593例(35.9%), 脳梗塞が947例(57.4%)であつた. 発病から国立療養所に入所するまでの期間は3ヵ月未満が89~例(54%), 1年以上は308例(18.7%)にすぎなかつた. このことは一般のリハビリテーシヨン専門病院と大差はみられない.
    国立療養所に入所した, 脳卒中患者の治療成績は, 著明に改善したもの338例(20.5%), 中等度改善したもの498例(30.2%), 軽度改善したもの416例(25.2%)で合計1252例(75.9%)に何らかの改善を認めた.
  • ―らい部門の報告―
    山岡 幹彦
    1977 年 31 巻 11 号 p. 1267-1270
    発行日: 1977/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    国立療養所に長期にわたり入所している患者の歯科治療を阻害するいろいろの条件を探り, その改善を目指す国療歯科共同研究の一環として, らい部門を担当調査した. 報告は恵楓園, 青松園の2施設合同で行つた調査と, 恵楓園単独で行つた結果を併記した.
    患者の約10%は多数の欠損歯のため著しい咀しやく障害がある. また25%は口辺に何らかの知覚あるいは機能障害がある. 歯科治療の供与不十分すなわち荒廃した口腔状況になつた理由の大部分は全身的状況によつて受診しなかつた者で, らいによる局所的原因と見なされる者は少なかつた.
  • 伊藤 貴志男, 中田 良和, 泉 寛治, 橋本 武則
    1977 年 31 巻 11 号 p. 1271-1274
    発行日: 1977/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Thyroxine Binding Protein (TBG)欠損症は比較的希な疾患であり, ことに甲状腺機能亢進症状を伴うTBG欠損症は, 今日までに若干例を認めるに過ぎない. 患者は51才男子で, 甲状腺種, 眼突, 心悸亢進を主訴として来院. 初診時検査所見では, BMR: +41%, RT3U: 54%, PBI: 5.6μg/dl, T4: 6.9μg/dl, T3: 480ng/dl, 131I-uptake: 54%, Microsome test: 25600 dils, TRH test無反応であつた. 以上のデータよりバセドウ病と診断した. またPBIとRT3Uの解離よりTBG欠損を疑い, 微量の131I-Thyroxineを添加した患者血清をCellurose acetate膜電気泳動法を用いたAutoradiagraphyにより検索した結果, 明らかにTBG分画の欠損を認めた. またTBG結合舵も0.9μg/dl(正常値13.1~32.3μg/dl)と非常な低値を示し, バセドウ病を伴つたTBG減少症であることを認めたので報告する.
  • 高松 脩, 浅井 伴衛, 正来 恭定, 渡辺 騏七郎
    1977 年 31 巻 11 号 p. 1275-1278
    発行日: 1977/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    当院外科における最近5年9ヵ月間のバセドウ病手術症例36例のうち6ヵ月以上経過を観察した32例について検討した.
    (1)男性13例(平均29才), 女子19例(平均23才)で最年少は14才女子, 最高53才男子であつた.
    (2)手術に至つた理由は治療期間の短縮が21例と多く, 次いで妊娠希望が5例を占めた.
    (3)全例に甲状腺亜全剔切除を行い残存甲状腺重量は両側に各3~5gとした.
    (4)手術時間は平均1時間32分, 出血量は平均267mlであつた. 麻酔は全麻で行われ, Neuroleptanalgesiaが23例と多かつた. 切除甲状腺は平均72gで, 4例に濾胞状腺腫, 1例に乳頭状癌の合併をみた.
    (5)一過性副甲状腺機能低下と術後反応を1例みているほかは合併症はなかつた.
    (6)1年以上経過した30例の術後成績は28例93.3%治癒の好成績をえている.
  • 杜 秀雄, 山田 信夫, 沢渡 玉恵, 坂井 節夫, 太田 耕治, 世良 和明
    1977 年 31 巻 11 号 p. 1279-1283
    発行日: 1977/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    原発性アルドステロン症2例と続発性アルドステロン症1例を経験した. 原発性アルドステロン症の1例は, 術前各種検査を受け, 右副腎腫瘍の存在が指摘されたが, 手術により, 両側副腎に腫瘍が発見された. 現在, 本症は希な疾患ではないが, 術前におけるその診断, 殊に, 腫瘍の局在診断は必ずしも容易ではなく, 今後さらに診断技術の進歩が待たれる. また本症例は, 出産後1ヵ月以内に発症したと思われる興味ある症例であり, 本症の増悪因子として, Estrogen, Progesteron, Prolactinなどのホルモンが関与している可能性が示唆された.
  • 石川 真一郎, 浅野 次義, 宮川 洋輔
    1977 年 31 巻 11 号 p. 1284-1286
    発行日: 1977/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    67才の男性で, 10年来毎日1升~5合の酒を嗜んでいたが, Wernickeの記載した古典的3徴を示し, Vitamin B1高単位投与により神経症状の著しい改善を認めた. 現在はKarsakow症状が残つているため経過観察中であり, 病理解剖学的裏付けは欠くが, 臨床的にはアルコール性Wernicke脳症と診断した. なお治療前後に血中Vitamin B1定量を行い興味ある結果が得られた.
  • 坂本 栄一, 相良 正彦, 安達 秀治, 川井 三郎, 高橋 一洋, 鳥居 有人
    1977 年 31 巻 11 号 p. 1287-1290
    発行日: 1977/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    輸血後肝炎の研究は, HB抗原の発見以来急速な発展をみた. しかし, 無輸血手術後12日から35日の問に一過性の肝機能障害を示す例が最近増加の傾向にある. 我々は, この2年間に10例の無輸血手術後肝炎を経験した. 方法として, 無輸血症例でGPT 200単位以上を1回でも示したもの, 1週間隔で連続2回以上50単位以上を示したものを術後肝炎とした. 症例の大多数は, 手術2~3週後にGOT, GPTの上昇を認め, Al-Pの上昇および好酸球増多症を伴うものが8例にみられ, 白血球減少が6例に, リンパ球減少が5例にみられた. また9例にHBs抗原, 4例に抗体を調べたが, すべて陰性であつた.
    これらの原囚について(1)手術侵襲そのものによる(2)麻酔剤による(3)術中, 術後の抗生物質制癌剤による(4)院内感染による, などを考え統計学的分析を加えて報告する.
  • 谷 一郎
    1977 年 31 巻 11 号 p. 1291-1293
    発行日: 1977/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    若年性鼻咽腔血管線維腫は主として鼻咽腔に原発する良性腫瘍とされているが, 臨床的には治療困難で再発しやすく, 悪性腫瘍に似た性状を示す比較的希な腫瘍である. この若年性血管線維腫が異所的に副鼻腔に発生した症例に遭遇し, その全摘出に成功した1例を経験したので報告する.
    症例は27才男子で, 主訴は鼻出血である. 初診時所見では右嗅裂, 中鼻道閉塞し, 右鼻腔に血痂皮が多量充満している. Caldwell-Luc法で手術するに, 右上顎洞, 節骨洞共に腫瘍組織で充満していた. 洞内容と共に中甲介や鼻腔腫癌も摘出した. 術後タンポンを挿入し, 止血をみて口嚢創を閉鎖した. 鼻咽腔血管線維腫は10~20才代の男子に多く発生し, 臨床的には悪性腫瘍なみにみなされている. 発生原因に定説はなく, 咽頭天蓋以外の部に異所的に発生する可能性も認められている. 手術療法は大出血を起す危険があるが, 本症例では幸い出血も少なく剔出することができた. 現在まだ再発の徴はみられない.
  • 4. 久米島のらい
    犀川 一夫
    1977 年 31 巻 11 号 p. 1294-1297
    発行日: 1977/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    久米島のらいの疫学的状況を昭和13年以降38年間について分析すると, かつて罹患率0.536‰という猖獗期にあつた久米島も近年ようやく0.205と鎮静状態に入つたかに見えるが, 詳しく仲里, 具志川両村について調べてみると, 仲里村は昭和45年までは罹患率0.838‰から0.443‰とらいが多発し, 近年やつと0.074‰に減少した. 逆に具志川村は昭漁40年までは0.085‰から0.257%の間にあつたが, 昭和41年以降0.548‰と増加し, 近年でも0.366‰を示し, らいが多発しつつあることがわかる. この傾向はL型比, 小児比によつても明らかといえる. この事実はまた, 昭和47年以来5回に亘るらいの調査結果でも, 仲里村に新患者発生がなく, 具志川村にのみ限られて発見されていることによつても裏づけられる久米島という小さな島の隣接せる2村のらいの疫学的状況にこのようなズレの見られることは注目すべき事柄である.
  • 骨腫瘍―前立腺癌骨転移
    与那原 良夫, 高原 淑子, 佐々木 由三, 吉岡 達夫, 中薗 昌明
    1977 年 31 巻 11 号 p. 1298-1299
    発行日: 1977/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 31 巻 11 号 p. 1300
    発行日: 1977/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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