抄録
重障児の食餌について考える場合, しばしば栄養学的なことや, 形態的なことのみが問題とされ, 彼らの嗜好, また調理面, 味付けなどが等閑視され勝ちである. しかし食餌にとつてこれらを無視することは出来ないことであり, 殊に重障児にとつてこの時間が楽しいものでなければならない. このような食餌を給することを目的として, 昭和47年と48年の2回にわたつて調査を行つた. その結果, 重障児の嗜好は一般の子供たちと同じであること, 形態によつては折角の味付けが消えてしまうこと, また介助者を通してされる報告には, しばしば彼らの意見が強く反映されることなどが判つた.
クローン病における細胞性免疫と伝達因子
クローン病における細胞免疫の低下の有無と伝達因子として知られるリンパ球抽出物が, これらの患者においてT細胞機能を回復することが出来るかどうかが検討された.
症例はステロイドまたは免疫抑制剤を用いてない, 組織学的にクローン病と診断された13例で,伝達因子の注射の前後にツ反が施行された. 13例中12例が陰性で, 伝達因子を与えられた後3例が陽性化を呈した. 125I還元ウリジンのアプティクにより測定されたPHA刺激に対するリンパ球反応は, 4,415±3,712cpm/1,000リンパ球で, 20例の健康成人の10,330±3,210cpm/1,000リンパ球より有意に低く, 伝達因子を受けた後では10,170±5,990cpm/1,000リンパ球に上昇した.
以上の結果よりクローン病においてはT細胞機能の低下があり, 伝達因子の投与においてPHA刺激に対する反応や, ツ反の変化で細胞性免疫の回復が認められた.