医療
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腸管重複症を伴つた急性虫垂炎の1治験例
石山 和夫木村 忠栗林 宣雄
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1977 年 31 巻 3 号 p. 259-263

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抄録
消化管重複症は比較的希な疾患である. その大部分は乳幼児ないしは小児に見られ, 腸重積あるいは腸閉塞などの診断のもとに開腹手術が行われた際発見されることが多いし, また剖検時に認められるものが少なくない.
その存在部位は消化管全般にわたるが, 多くは回腸または回盲部に存在していたとの報告が大部分である.
我々が経験した症例は19才女子で, 急性虫垂炎の診断で緊急手術を行つた際, 空腸上部(トライツ靱帯から約40cm)の腸間膜付着部に50×50×50mm大の球形の腫瘤を認め, 腸管と密着していて切除不能のため, 空腸と共に切除した. なおその際小腸全体にチアノーゼを認めていたが, 腸管を創外に脱転せしめたところ循環不全が改善された. このことは腫瘤による腸間膜根部血管の圧迫ないし腸管の軽度の軸捻を伴つていたものと考えられた.
切除標本は消化管重複症の組織構造を示していた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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