抄録
特発性肥厚性大動脈弁下狭窄症(IHSS)の家族発症例を報告した.
症例は44才の主婦と彼女の第5子で7才の少年であり, 先天性心疾患が疑われたが, 左室造影検査及び心筋生検法により診断が確定された. 同胞の心電図を記録すると, 第1子, 15才男子にI度房室ブロツク, 第2子, 13才女子にW-P-W症候群, 第3子, 9才男子にPQ時間の延長が認められた.
特発性心筋症の診断は時として困難なことがあり, 最終的にはカテーテル検査や心筋生検法により診断が確定きれるべきだと思う.
特発性心筋症の診断上の問題点と家族性発症に関し若干の文献的考察を加えた.