医療
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肺良性腫瘍の臨床的検討
森重 照夫湯野川 俊孝兼広 正三弘中 満藤村 和昭八塚 陽一厚見 満須美小野 要森下 待子
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1977 年 31 巻 6 号 p. 517-525

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抄録
肺の良性腫瘍は肺癌に比べるとかなり希なものとされていて, 原発性肺腫瘍の2~5%を占めるにすぎないといわれている. 山陽荘において20年間に経験した肺良性腫瘍は10例で, いずれも切除により確かめられたもので, その内訳は肺過誤腫4例, 気管支腺腫2例, 肺硬化性血管腫2例, 肺平滑筋腫1例, 肺胚芽腫1例である. 性別は男7例, 女3例で男に多い. 年令は40才以上の中高年者が多い傾向を示す. 発生部位は右4例, 左6例で下葉が多い. 自覚症状なく検診で発見されたものが半数を示す. 胸部X線所見は大部分が境界鮮明な円形及び類円形陰影であつた. 術前診断は肺腫瘍, 肺結核, 肺癌などで各疾患名を診断することは困難であつた. 手術の種類は全摘2例, 葉切4例, 区切3例, 腫瘍摘出1例で予後は1例に再発のため再切除を行つたが, その他はすべて良好であつた. 腫瘍の性格上過大切除にならないよう肺機能の温存に十分留意すべきである.
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