医療
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沖縄県における地域別らい調査報告
3. 宮良部落のらい
犀川 一夫
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1977 年 31 巻 7 号 p. 717-719

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抄録

八重山群島のらいの疫学的状況を分析してみると, 石垣本島, 特に宮良部落のらいの発生が高いことがわかる. 昭和41年より昭和45年の5年間のらい発生状況を見ると, 石垣本島の約1/4を占め, 当部落の罹患率は人口1, 000人に対し4名という高率である. 昭和16年以来34年間の疫学的状況を検討すると, 近年減少傾向にはあるが, 昭和45年より昭和50年の5年間でもまだ罹患率は1.74‰, L型罹患率0.64‰, L型比36.4%, 小児らい比9.1%と石垣市平均を上回り, グラフで分析しても決して鎮静期にあるどはいえない. この状況をふまえ昭和47年7月にらい疫学的調査として当部落の住民検診, 学童検診を実施したが, 発見率は住民検診で4.93‰, 学童検診で2.29%と高率であつた. 今後も当部落からの発生が予想され, 積極的ならい対策が望まれる. なお当部落に限つてらいの多発している原因の一つは歴史的に古い港として, 中国, 台湾及び南方諸島との交流があつたことが考えられる.

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