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最近における婦人癌の早期診断成績について
安部 宏津田 裕文下村 雅伯長末 直樹西尾 紘明畑瀬 浩樹梅津 純也井手 信
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1977 年 31 巻 9 号 p. 939-945

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抄録

最近3年間における婦人癌早期診断の実態を調査し各のもつ問題点について検討した. 子宮頸部では上皮内癌18例, 初期浸潤癌16例, 浸潤癌120例を検出した. 異形成上皮を含むこれらいわゆる境界病変は集団または施設検診で発見されたものが多く, Screeningの意義が明らかに認められた. 最終決定診は術後検索あるいは円錐切除によつたが, 初回生検と対比の結果, 円錐切除が初期頸部病変の診断上最も合理的と考えられた. 子宮体部では腺癌15例, 異型増殖2例を検出した. I期は8例で過半数を占めたが, 衛後検索の結果かなりの拡がりを認めるものも多く, 今後の積極的検診対策の必要性が示唆された. 卵巣癌では中間群4例, 悪性群17例(単純性癌13, 転移性癌4)で, そのほとんどが進行例で予後不良であり, 今後診断面の再検討が望まれた. 膣, 外陰に関しては共に症例数が少なく, 早期診断面での資料に乏しいが, 体癌あるいは卵巣癌と同様, 今後の積極的な検診体制の向上, 並びに診断法の開発が望まれる.

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© 一般社団法人国立医療学会
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