医療
Online ISSN : 1884-8729
Print ISSN : 0021-1699
ISSN-L : 0021-1699
麻酔科領域とくに高令者の術後管理について
川添 太郎
著者情報
ジャーナル フリー

1978 年 32 巻 12 号 p. 1474-1480

詳細
抄録

最近の人口の高令化に伴い, 手術患者の中で高年者の占める割合が増加し, それにつれて手術適応も拡大されてきている. 高令者では術前の全身状態, 手術方法, 麻酔方法が術後に与える影響は大きく, より密接に関係してくるものと考えられる. 本稿では麻酔科領域に関係のある術後管理の面, すなわち術後の鎮痛, 高令者に多い術後肺合併症及び心筋梗塞との関係について述べる. 高令者では閉塞性肺疾患に罹患している者が多く, これに関連して術後の肺合併症は頻度が高い. 術前からの準備や術後の管理が大切である. 術後の創部痛は深呼吸や咳を弱はめ, 肺のコンプライアンスを低下させる大きな原因といわれ, 鎮痛法を種々考える必要がある. 老人の手術増加で, 心筋梗塞発作の既往歴をもつ患者も増え, その術後の死亡率は高く, 手術時期や術中, 術後の管理は重要である. 高令者は種々の予備力の低下があり, 術後の合併症, 死亡率も高く, 予防が特に大切である.

著者関連情報
© 一般社団法人国立医療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top