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胃憩室に隣接して発生した胃潰瘍の1例
大木 箭洋伊藤 一郎武井 八重子二宮 光子斉藤 昭三
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1978 年 32 巻 12 号 p. 1490-1493

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抄録

吐血を主訴とした65才の女性で, 胃X線検査の結果, 噴門部に憩室と潰瘍が隣接して存在した1例を経験した.
一般に, 胃憩室は消化管憩室のうちでもまれである. しかし, X線診断上潰瘍と鑑別しなければならない点で注目される. 憩室のX線学的特徴は噴門部小轡に近い後壁にみられ, その辺縁が平滑で伸展性に富み, 液性鏡面像を認め, 憩室内に粘膜皺襞が入り込んでいる.それに対し, 潰瘍は噴門部に発生することは比較的少なく, 潰瘍底は不整で, 潰瘍辺縁に向う粘膜皺襞の集中をみるが, 潰瘍内に入り込むことはない. このような所見を得るために, 胃X線検査のさい造影法を十分工夫しなければならない.
著者らは胃X線検査にて通常の方法に加えて腹臥位二重造影法を丹念に行い, 噴門剖に憩室と潰瘍の両者の存在を明らかにすることができた.

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