医療
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国立療養所刀根山病院における長期入院患者(10年以上)の検討
―主として呼吸不全の立場から―
越山 健二郎桑原 修田中 英之中島 篤巳
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1978 年 32 巻 12 号 p. 1502-1506

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抄録

昭和52年8月1日現在, 当院に10年以上の長期にわたり引続き入院している42例の患者に対し, 主として呼吸不全の立場から検討を加えた.
これらの患者は比較的高年令のものが多く, ほとんどが空洞型肺結核で, 3分の2のものに持続的排菌を認める. また低肺機能のものが多く, ほとんどのものが呼吸器機能障害による身体障害者に該当する.
動脈血ガス分析によると, Pao270 TORR以上, Paco2 35~45 TORRのものは16例(38%)に過ぎす, 一方Pao2 69 TORR以下またはPaco2 50 TORR以上のいわゆる呼吸不全のものは19例(45%)であつた. Paco2は%VC, 指数との間に明瞭な相関が認められた. またPao2低下の原因としては肺胞低換気が最も大きな問題となるように思われた. 酸塩基平衡動態をみると, ほとんどの例がEngelらのchronic stable hypelcapniaにおけるHCO3-, Paco2の間の回帰直線と比較して, 95%信頼限界内にある.

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