抄録
胆管癌で無黄疸の時期に診断された症例の報告は少ない. 我々は無黄疸の総胆管癌の1例を提示する. 患者は70才の婦人で右季肋部痛を訴えており, 時には熱発を合併していた. 血液生化学検査によりA1-pの高値がみられたが, 血清ビリルビン値は上昇していなかつた. 経口的胆のう造影によつては胆のうはほとんど造影されなかつた. ERCPで総胆管に陰影欠損が認められた. 手術(病巣と膵頭十二指腸切除術)が行われた. その結果, 切除標本では1.0×2.0cmの総胆管癌(腺癌)が存在した. 患者は術後13ヵ月たつた現在, 健在である. 加えて本論文で胆道癌の早期診断についても論じた.