医療
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心不全と血清尿酸値
小出 鈴三
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1979 年 33 巻 1 号 p. 40-44

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抄録
入院および外来患者を対象として, 心不全における血清尿酸値の変化について検討した.
種々の指標において, 心不全のある群ではない群より血清尿酸値は高く, 心不全の軽快と共に低下の傾向を示した.
この心不全における高尿酸血症の成因に関しては, 血清尿酸値上昇は尿酸クリアランスと逆相関を示し, 尿酸排泄の障害が主因であろうと推定された. しかし, 腎不全の場合の高尿酸血症との違いは, 腎不全では血清尿素窒素やクレアチニンが著明に増加して後にはじめて尿酸値の上昇がみられるのに対し, 心不全ではこれらの増加を伴わないで血清尿酸値の増加するのが普通であり, クレアチニンクリアランスに対する尿酸クリアランスの比などよりみても, 腎不全では糸球体濾過能が著しく低下して初めて高尿酸血症を来すのに対し, 心不全では糸球体濾過能の低下より先に, 腎血流量の減少により尿酸排泄障害が起るものと考えられる.
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© 一般社団法人国立医療学会
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